やはりこの男は”持って”いる。
大谷翔平が、ドジャーブルーに身を包んで
初めて臨んだオープン戦の第3打席。
フルカウントからの直球にやや差し込まれながら、
それでも振りぬいたバットから放たれた打球は、
高々と舞い上がってレフトスタンドに吸い込まれた。
レフトフライかと思った
この打席で対峙したピッチャーは、昨年1か月だけ
エンゼルスでチームメイトだったレオーネ(リオン)。
フルカウントから投じた内角寄りの直球は153km/h。
テレビで見ていると、大谷は腕を折りたたんで
内角球に合わせに行ったように見えた。
甲高い木製バットの音とともに、レフト方向に
上がった打球は、やや詰まったかと思わせるものだった。
ピッチャーも、たぶん打ち取ったと思ったのだろう。
特に打球をしっかりと確認するでもなく、
ベンチに向かって歩き出したように見えたが、
打球は高々と舞い上がってそのまま左翼観客の
ところまで届いてしまった。
レオーネは試合後のインタビューで次のように答えている。
「正直言って、入るとは思わなかった。レフトフライかなと。でも翔平だからね。彼のパワーと、アプローチのすごさだよ」
大谷のすごさに改めて脱帽、といったコメントを
残し、次のように続けた。
「翔平は特別な男で素晴らしい人柄でもある。チームメートしても本当に素晴らしかった。一方で、僕は野球界でベストの打者と対戦したいという楽しみもあるから」。
ちなみに、この試合で対戦相手のホワイトソックスの先発マスクをかぶったのは、
やはり昨年エンゼルスでチームメイトだった
スタッシー。
バッテリーがそれぞれ対戦相手としての大谷のすごさを実感したに違いないと思う。
大谷は特別な選手
試合後のインタビューでは、
ドジャースのロバーツ監督も興奮を隠しきれない
様子だった。
「ラインナップがそろって私自身とても楽しかった。フライだったが、それが球場の外まで行ってしまって、ファンも大喜びだった。彼は本当に特別な選手だ」
そして、移籍後初の試合で
ホームランを放ったことについて、
「とてつもないことだ。彼のキャリアにとって大きな瞬間はこれまでもあったけれど、これからもまたこういう瞬間が来るのだと感じている」
とコメントしている。
ロバーツ監督によると、大谷は次の試合には出場しないようだ。
連続して出場するのはしばらく様子を見てから、
という方針らしい。
ファンとしてはその雄姿を数多く見たい
ところではあるが、
シーズン中フルで活躍してほしいので、
オープン戦の間は我慢するしかないと覆う。
試合後の一問一答
Q.初の実戦を振り返って。
A.そうですね、まずは予定どおりに出られたっていうことと、終われたっていうことがいちばんよかったと思います。
Q.しっかり結果を出した。スイングやリハビリも順調か。
A.そうですね、打席を重ねるごとに反応もよかったかなと思うので、徐々に徐々にですけどよくなっていたかなと思います。
Q.ホームランは入ると思ったか。
A.いや、ちょっと(打球が)高いかなと思ったので(湿度が低く乾燥していて打球が飛びやすい)アリゾナでどうかなというところだったかなと思います。
Q.移籍後初の試合で、緊張などはあったか。
A.緊張はなかったですね、まあスプリングトレーニングなので、まだそういう段階ではないかなと思いますし、自分の調整がまずいちばん大事かなと思います。
Q.2番というのはどう捉えている?
A.まだきょう初めてなので。
でもやること自体は変わらずにストライクだけしっかり自分のスイングする、シンプルなところがいちばんかなと思います。
Q.フリーマン選手が後ろにいることで、ストライクが増えると思うか。
A.まあ立ってみないともちろんわからないですし、前後でもちろんムーキー(ベッツ選手)もフレディ(フリーマン選手)も、あとそれ以降もいいバッターがもちろん続くので、どう変わっていくのかなというのももちろん楽しみですし。
1打席1打席自分も勉強しながら対応していきたいなと思います。
Q.エンジェルスのデビューと比べてどうだった。
A.あー。
あの時は何がどういうふうに進んでいくのか全くわからなかったので。
その時とはまた全然違うかなと思います。
Q.ファンが列を作ってサインを求めていた。
ドジャースでそういった光景を見るのはどんな気持ちか。
A.きょうもたくさんの人に見に来てもらって、歓声もすごく大きかったですし。
何よりもチーム関係なく、まずこの時期にこうやってまた戻って来られて、手術もありましたけど順調に戻って来られて。
まずそれがいちばん、きょうよかったかなと思います。
Q.ホームランも出た、3打席を振り返って。
A.まあ振ったのもよかったですし、さっきも言いましたけど1打席目から3打席目まで徐々に感覚もよくなってきているので、あとは見逃したコースが、自分の思ったとおりのコースかどうかが、あとはいちばん大事かなと思います。
Q.体の感覚は。
A.感覚もよかったです。
まあ、体自体の強さもよかったですし。
ケージで振ってる感じも、ここのところのなかではいちばんよかったんじゃないかと思うので。
あとは無事に終わってよかったなというのが今の気持ちかなと思います。
Q.スタンディングオベーションもあったが、ドジャースの一員になった実感は。
A.そうですね。
まだ1試合目なので、これからかなと思いますけれど、しっかりとチームに貢献して早くそういうふうに認めてもらえるように頑張りたいと思います。
Q.ホームランはフルカウントからだった。強振ではなかった?
A.どうなんですかね、まあ普通な感じですね。
まあ、別に長打を狙ってるわけではなかったですし、全体的に言えることですけど、シンプルにゾーンを振るっていう。
Q.手術明けで体のケアは。
A.ケアは、んーまあその、細かい動きのチェックだったりとか、トレーニングだったりとかっていうのは週に何回かあって、あとはトレーナーの人に見てもらう。
あとは数週間に1回自分のPT(フィジカルセラピスト)の人、来てもらうタイミングでチェックしてもらうって感じです。
Q.終わった後監督や選手からことばは。
A.そうですね、フレディ、フリーマンが、たぶん僕が終わってたらもう1回守備に行かないといけなかったので「絶対打ってくれよ」って言われていたので。
回せてよかったなと思います。
Q.ベンチで言われていた?
A.前の回ですね、前の回の攻撃が終わったとき。
Q.このキャンプで下半身や体幹のメニューをよく行っているが、その意図とバッティングへの影響は。
A.いやまあ、トレーニングは一貫して、もう別に年単位で変えるとかっていうことではなくて、10年20年のスパンで考えてやるものなので。
ことしは手術はあったのでそれに適したトレーニングはもちろんしますけど、全体的なフィジカルの強化は例年どおりだと思います。
Q.ピッチャーとしてのリハビリはそこまでしていないが、それはバッターとしての出場を早くするため?
A.いやピッチャーのリハビリもしてます。
トレーニングだったり。
まだスケジュール的に投球を再開する段階ではないというか、スケジュール的にまだなだけで。
Q.クラブハウスで外野手用とファースト用のミットを持っていた意図は。
A.いやまあ、そういうこともあるかもねっていう。
みんなに言えることですけど。
そうなってからでは遅いので。
事前の準備がどういう時も大事かなと思います。
Q.ノックも受けていく?
A.どうなんですかね、まだその段階ではないかなと、もちろん投げられなければすることもないですし。
そこは優先事項から外れているので。
そこはまあシャグ(外野での球拾い)とか、何て言うんですかね、トレーニングメニューというか、コンディションの一環でランニングしたいなという時に入ることはあると思いますけど。
そこまでやることないかなと思います。
Q.きょうは愛犬は試合を見ている?
A.いや、見てないんじゃないですかね。
Q.振っていいボールと振ってはいけないボールの見極めはどうだった?
A.3打席目はまあまあよかったですかね。
ただあの、たぶん練習してるボールとか、予想していないボールをたぶん投げてたので、そこはまあチェック外でしたけど。
ある程度自分が振りに行っていいボールに対してアプローチできていたかなと思うので、はい。
Q.2番の打順について監督と話は。
A.いや僕はもうどこでもいいって感じだったので。
まあ前後どう変わるかわからなかったですし、監督がどういうふうにやりたいのかっていうところに対して僕が言うことはもちろんないので。
好きなように、そこに対応していけたらなと思ってました。
Q.開幕に向けての打席数は間に合うか。
A.ペース的には越えてくると思いますね。
今の段階ではちょっと早いくらい、ちょっと多めに入ってくらいの感じだと思うので、十分にこなせるかな、量自体はこなせるかなと。
あとは感覚次第かなと思います。