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1 桜田通りにある名建築

桜田通り沿いにある名建築を中心に、高低差のある地形を体感しました。当日は雲ひとつない晴天で、日中は上着が不要なくらい過ごしやすい気候でした。集合場所は今回のオープンしなけんのチラシ・ポスターのメイン・ビジュアルとなった、東京デザインセンターの大階段です。イタリアの建築家マリオ・ベリーニが設計したこの建物は、斜めに貫通するこの大階段が特徴で、その途中にある馬の彫刻によって山側の庭へと誘います。階段を上り、庭へ出ると、高低差のある地形であることがわかります。階段状にセットバックしたテラスにはバラの鉢植えが並べられ、まるで別世界です。その後、白いファサードが特徴で端正な佇まいの白雉子ビルへ。その背後には通りの喧騒から守られるように雉子神社が鎮座しています。村野藤吾の没後の作品ですが、レースのような透かし模様や工業製品をむき出しにした天井など、村野らしいデザインや精神が踏襲されています。今回のツアーでは特別に神社拝殿の天井画を見させていただきました。上村淳之が描いた鳥が描かれています。屋根には雉子神社の由来である雉子の彫刻が設置されているのも見逃してはいけません。

次に向かったのは、日蓮宗妙健山本立寺の旧本堂です。円形で力強い造形が特徴です。戦災で焼失した本堂を再建するため、当時の住職が堅牢な鉄筋コンクリート造を希望し、設計者堀響一と施工者白石建設によって美しい構造美を誇る本堂が1966年に実現しました。品川区にある知られざる名建築として今回のツアーに組み入れました。ツアー当日はご住職の中島氏に本堂の正面扉を開けていただき、かつてのエピソード等をお話ししていただきました。その後、島津山の住宅街を通過し、清泉女子大学の正門前でジョサイヤ・コンドル設計の旧島津公爵邸について解説しました。正門向こうの緩やかな坂道を上ると、瀟洒な洋館が姿を現します。今回、見学は叶いませんでしたので、写真で他の洋館と比較しながらコンドル設計の特徴について説明しました。時折クイズを出しながら参加者とコミュニケーションを図り、楽しいひとときを過ごしました。あっという間の2時間でした。

ナビゲーター:和田菜穂子(東京建築アクセスポイント)

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桜田通り沿いに点在する名建築を、和田先生の解説で巡りました。このエリアは、大通りから一歩入ると、静寂な高級住宅地が広がっています。眺望の良いスポットも紹介しながら、高台エリアを探訪しました。

ツアーは、一番の見どころでもある、五反田駅近くの《東京デザインセンター》からスタート。まずは、ガレリア大階段を上り裏庭に移動、設計者であるイタリアデザイン界の巨匠「マリオ・ベリーニ」のことや、大階段の存在を強調している「馬の彫刻」等についての解説がありました。裏庭は、桜田通り沿いとは思えぬ静けさで、桜やテラスの薔薇の話にも、皆さん興味を持たれている様子でした。

裏庭からは、テラスの階段を上って、最上階のエレベーターホールへ。エレベーターは建物を円柱状に貫いており、最上部はガラスのドームとなっています。イタリアらしい大理石と金属、ガラスで構成されたホールには、デザイナー「倉俣史朗」の椅子「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」が置かれ、質感とともに空間によく馴染んでいます。和田先生からは随所で、「マリオ・ベリーニ」と同年代の建築家や、「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」等にまつわるクイズも出題され、楽しみながらツアーは進みます。

次に、桜田通り沿いを移動して、《雉子神社・白雉子ビル》、《日蓮宗妙建山本立寺旧本堂》へ。《雉子神社・白雉子ビル》では、拝殿の天井画等を見ながら村野流のポイントを聞き、《日蓮宗妙建山本立寺旧本堂》では、住職から建設当時の貴重なお話を聞くことができました。コロナ禍で実現しませんでしたが、住職は当時の現場監督にも声を掛けていたそうです。ビルに内包された神社と、鉄筋コンクリート造・椅子座の寺院、どちらも都市における新しい宗教施設として、全国から多くの視察があったとのことでした。

最後に、閑静な住宅街を抜け、《清泉女子大学本館》へ。残念ながら建物自体は見学できませんが、正門前で設計者「ジョサイヤ・コンドル」の、日本での様々なエピソードをお聞きしました。身近に素敵な建築があることが分かったといった感想もいただき、私自身も楽しみながら、ツアーを終えることができました。

アシスタント:大河戸正明(社会人スタッフ)