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7 旗の台・小山の住宅散歩

最初の目的地は、新居千秋の《ひまわり幼稚園》です。バブルの入り口ごろの作品で、特徴的な窓を強調するためのフレームなどにお金がかかっているという解説がありました。丹下健三の弟子5人からなる建築家ユニットのアーキテクトファイブが手掛け、1997年に完成した集合住宅は、素材の重ね方がカルロ・スカルパを思わせるデザインでした。

次に見たのは、若原先生の師匠である横河健が手掛けた《パラレル住居II》です。設計には若原先生が関わっている部分もあり、コの字型の建物の向き合う面をガラスにして開放感を出す工夫など、詳しい解説がありました。さらに、高級住宅街ならではのコンクリートの打ち方にも着目し、道の反対側の家もあわせて解説してくださいました。坂本一成の《House F》の前ではなぜこの建物が日本建築学会賞に選ばれたのかという説明がありました。その近くに谷口吉郎の自邸があります。谷口吉郎ならではの大谷石のはり方など、見どころがたくさんありました。その道の先を曲がったところには、清家清のデビュー作だった、うさぎ幼稚園があります。改築され、清家清の作品はもうありませんが、坂本一成とそこに住む藤原先生、谷口吉郎、清家清と、東京工業大学のつながりが分かります。

さらに東京工業大学からもう一人、小西敏正の《𠮷国邸》もすぐ近くにあります。二組の夫婦が共同で建てた、面白い住宅です。その隣は、アントニン・レーモンドが手掛けた住宅で、レーモンド自身についても若原先生から詳しい説明がありました。次の目的地は椎名政夫の《椎の木のあるタウンハウス》です。1985年の作品で最初期のデザイナーズマンションといえるような建築であり、傾斜や前の道を活かした、その敷地だからこその建築になっています。その後は、海老原一郎の自邸を見ました。《地下の家・地上の家》という名前の通り、上下に分かれているような構造で、フィリップ・ジョンソンのガラスの家を想起させるような重厚感のある鉄骨が印象的です。最後は内井昭蔵の《聖ヒルダ記念館》で、汚れにくい工夫や、圧迫感を出さないような屋根の形について見ていきました。

若原先生は歩きながら地形や1区画分の敷地の違いについて喋ってくださり、建物見学会ではなく、ツアーだからこその面白みがありました。

アシスタント:三上佳祐(慶應義塾大学2年)