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クロージングトーク「建築をひらく」
日時:2019年11月30日(土) 18:30-20:30
場所:大崎第一区民集会所
参加者:81名
ゲスト:五十嵐太郎(建築史家・東北大学教授)
登壇者:和田菜穂子、磯達雄、倉方俊輔、若原一貴(東京建築アクセスポイント)
大崎第一区民集会場でクロージングトークが行われました。特別ゲストは建築史・建築評論家の五十嵐太郎先生です。まず主催者の品川区建築課長の長尾氏から挨拶があり、続いてイベント企画者の東京建築アクセスポイント代表の和田先生からイベントについての報告がありました。その後、東京建築アクセスポイントの4名(和田・磯・若原・倉方)が、自分たちが担当したツアーについて写真を交えて報告を行いました。これによりツアーに参加できなかった方も内容を窺い知る事が出来たのではないでしょうか。また、ツアー以外の当日の公開の様子も、写真を交えて紹介されました。特筆すべきはやはり人気が高かった土浦亀城邸です。ゲストの五十嵐先生も約25年ぶりに訪れたそうですが、とても細かく縦方向に旋回して展開していく空間の造りは、ミース・ファン・デル・ローエのトゥーゲントハット邸には無い物で、そこに日本人の空間づくりの上手さ・日本モダニズム建築の真骨頂を感じたという事でした。五十嵐先生は他にも有時庵を訪れ、外観は観念的(円・方形)だが、中は官能的な空間で、茶室という小さなスケールの中に両極が圧縮されている様に面白さを感じたそうです。
倉方先生からは大阪で毎年開催されている建物公開イベント「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」の今年の内容が報告されました。その後、五十嵐先生による講演が行われました。五十嵐先生はアートと建築の垣根を超えた活動を長年されていらっしゃいます。その活動内容の講演の後、「開く」とは何かを考えるクロストークが登壇者間で行われました。
最後に会場からの意見として、品川バプテスト教会の日隈元牧師と東京デザインセンターオーナーの船曳氏からそれぞれの建物に対する想いも聴かせて頂きました。建物所有者・見学者・公開の働きかけをした者それぞれの想いが交差した、濃い2時間だったのではないかと思います。クロージングトークに相応しい充実した内容でした。
レポート:阿久根直子
写真撮影:山田新治郎