AGA

市販育毛剤とAGA処方薬は何が違うのか。承認基準の差を元開発者が正直に説明します

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ドラッグストアやネット通販で育毛剤を見ていると、どれもそれなりに効きそうに見えます。

「まずは市販の育毛剤で様子を見るか」

そう考えるのは、ごく自然なことだと思います。

ただ、ここで一つだけ最初に分けておきたいことがあります。

育毛剤や育毛シャンプーを否定したいわけではありません。

頭皮を清潔に保つ、使用感がよい、髪の手入れを続けやすくする。そういう意味では、市販品にも役割はあります。

ただ、AGAという疾患に対して、臨床試験で効果が確認された治療薬と同じ役割を期待するのは、少し無理があります。

私は製薬会社で、発毛作用を持つ新規化合物の研究開発に携わり、ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドを対照薬として実験を行った経験があります。その立場から見ると、市販育毛剤とAGA処方薬の違いは、単なる「強い・弱い」ではありません。

どの現象に対して、どのレベルの根拠を持っているか。

ここが違います。


最初に分けたいのは、育毛シャンプー・育毛剤・発毛剤・AGA処方薬です

薄毛対策の商品は、同じ棚に並んでいても役割が違います。

種類主な役割AGAへの見方
育毛シャンプー頭皮や髪を洗うAGAの進行そのものを治療するものではない
医薬部外品の育毛剤頭皮環境、ふけ・かゆみ、脱毛予防などの範囲AGA治療薬と同じ役割ではない
ミノキシジル外用薬発毛を目的とする一般用医薬品AGA治療の選択肢の一つ
フィナステリド・デュタステリドなどDHT生成を抑える方向に働く処方薬医師の診察と処方のもとで使う治療薬

ここを混ぜてしまうと、判断がかなり難しくなります。

たとえば、育毛シャンプーを使って髪や頭皮の感触がよくなることはあるかもしれません。ただ、それを「AGAの原因に対して治療している」と考えると、話が変わります。

AGAでは、DHTという男性ホルモン由来の物質が毛包に作用し、髪が太く長く育つ前に細く短くなっていくことが問題になります。

つまり、表面の手入れだけでなく、毛が細くなっていく仕組みそのものをどう見るかが重要です。

「市販だから弱い」「処方薬だから正解」ではありません

誤解してほしくないのは、市販品を使うこと自体が悪いわけではない、ということです。

頭皮のかゆみが気になる。髪の手触りを整えたい。毎日のケアとして何か始めたい。そういう目的なら、市販品を選ぶ意味はあります。

ただ、鏡を見るたびに生え際が後退している気がする、頭頂部の地肌が見えやすくなっている、家族にも薄毛が多い。こういう場合に、「とりあえず育毛剤だけで半年見る」と決めてしまうのは、私は少しもったいないと思います。

理由は単純です。

AGAは、気分や印象の問題ではなく、疾患として扱われる脱毛症だからです。

疾患である以上、見るべきなのは広告の勢いではなく、臨床試験で効果が確認された治療薬があるかどうかです。

AGA治療で「推奨度A」とされる薬には、理由があります

日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版では、男性型脱毛症に対して、フィナステリド内服、デュタステリド内服、ミノキシジル外用が推奨度Aとされています。

ここで大事なのは、推奨度Aを「一番強い薬ランキング」として読まないことです。

フィナステリドやデュタステリドは、DHT生成を抑える方向に働きます。ミノキシジル外用は、発毛を促す方向で使われます。役割が違います。

だから、AGA治療薬を見るときは、

  • DHTに関わる薬なのか
  • 発毛を促す方向の薬なのか
  • 外用なのか、内服なのか
  • 自分の不安や生活に合う形なのか

を分けて考える必要があります。

市販品、発毛剤、処方薬を同じ棚に置かず、まずAGA治療薬全体の位置づけを確認したい方は、AGA治療薬全体の位置づけを整理した記事へ進んでください。

育毛剤で遠回りしやすい人

市販品で様子を見ることが、必ずしも間違いとは言いません。

ただ、次のような人は、育毛剤選びだけで時間を使いすぎない方がよいと思います。

  • 生え際や頭頂部の変化が数か月単位で進んでいる
  • 父親や兄弟にもAGAらしい薄毛がある
  • ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドの違いが分からないまま商品を見ている
  • 副作用情報が怖くて、処方薬を調べる前に止まっている
  • 「高い育毛剤なら何とかなるかも」と考えている

こういう状態なら、最初にやることは高い育毛剤を探すことではありません。

AGAの可能性があるのか。治療薬にはどんな役割があるのか。診察では何を聞けるのか。ここを先に整理した方が、無駄な買い物を減らしやすくなります。

市販品で迷っているなら、診察の流れと費用も見ておく

市販品で様子を見るか、医師に相談するかで迷っている方は、いきなり治療を決める必要はありません。

ただ、診察の流れや費用を見ないまま「クリニックは高そう」「面倒そう」と決めてしまうのも早いと思います。

オンライン診療であれば、診察前後に料金や条件を自分のペースで確認しやすい面があります。対面でその場の空気に押されやすい人ほど、先に費用、初診、薬の受け取り方を見ておくと、判断しやすくなります。

診察の流れや費用、薬の受け取り方まで確認してから考えたい方は、AGAオンライン診療の費用・初診・受け取りを整理した記事を確認してください。

まとめ|「何を買うか」より先に、「何に効かせたいのか」を分ける

育毛シャンプーや市販育毛剤を否定したいわけではありません。

ただ、AGAという疾患に対して、臨床試験で効果が確認された治療薬と同じ役割を期待するのは無理があります。

薬理研究に携わってきた立場から見ると、薄毛対策で最初に間違えやすいのは、商品名や広告文を見て「効きそうかどうか」で選ぶことです。

本当に見るべきなのは、今起きている変化が何に近いのか、その変化に対してどの薬がどの役割を持つのか、そして自分が診察で何を確認したいのかです。

まだ全体像が曖昧な方は、AGAについて何から読むべきかを整理した総合案内へ戻ってください。


主な参考資料

本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断、処方、服用の開始・中止・変更を指示するものではありません。気になる症状や治療の適否は医師へ相談してください。

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